ビットコイン非課税化の議論 税収か国際競争力か

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 日本経済新聞  2016/02/29(月)

 仮想通貨ビットコインを「モノ(資産)」とみなし、消費税をかけている日本の税制に関係者の不満が高まっている。金融庁は今通常国会に資金決済法の改正案を提出し、仮想通貨は円のような「通貨」に似た機能をもつと認定する方針だが、税務上は「モノ」のまま。今月、国会で課税の是非について質問が出て議論が始まったばかりだ。

bitcoin.jpg 「世界の潮流に合わせ、仮想通貨に消費税をかけないという検討はできないのか」。2月5日、衆院予算委員会で自民党の秋元司議員は麻生太郎財務相にただした。

 麻生氏は仮想通貨に課税するオーストラリアなどの国々を挙げ、「日本だけが(特殊)ということはない」と課税の正当性を主張。一方でIT(情報技術)と金融が融合した「フィンテック」のブームに触れ「必要な環境整備を進めたい」と今後に含みを残した。


 海外では欧州の裁判所がビットコインを通貨に似た支払い手段と認め、付加価値税(VAT)の適用除外とするなど非課税扱いが主流。主要7カ国(G7)で課税するのは日本だけ。「日本は世界の逆を行く。競争政策上、日本にとってマイナスだ」と仮想通貨の業界団体、日本価値記録事業者協会の加納裕三代表理事は撤廃を訴える。


 どんな場合に課税され、日本の競争力に影響するのか。日本に住む個人が国内の取引所に円を払ってビットコインを買うと、モノを買うのと同じように8%の消費税がかかる。コインを利用しようという消費者の意欲をそぐことになる。


 さらに事業者にとって困るのは、非課税の海外の取引所から安い価格でコインを購入する消費者が出てくることだ。消費税法では「輸入される外国貨物」は課税対象であり、税関で消費税を徴収する。だが電子情報であるビットコインは税務上「モノ」であっても「税関を通らないため、課税なしとされる」(EY税理士法人パートナーの西田宏之氏)という。

 実際、この法の盲点を突いて、日本向けに安値でビットコインを販売している企業がある。加納氏は「国内事業者が海外勢と対等に戦えるようにすべきだ」と主張する。


 日本でも通貨や電子マネーは非課税だ。通貨は外国為替及び外国貿易法(外為法)で「支払い手段」と定義されているため、非課税。電子マネーは消費税法上、通貨のように広く商品やサービスの購入に利用できる性質を考慮し、非課税としている。


 一方、今国会で資金決済法が改正され、通貨に似た機能がビットコインに認められても、外為法上の「支払い手段」などではないから非課税扱いにはならない。国税庁は「ビットコインが非課税規定の対象とならない限り、税を徴収する」という。


 業界関係者が期待するのは5月に開かれる主要国の首脳会議(伊勢志摩サミット)と、財務相・中央銀行総裁会議だ。「フィンテック推進が各国首脳の間で共有され、国内でも課税見直しの方向に風向きが変わる」とある関係者は予想する。

 自民党フィンテック推進議員連盟の幹事長を務める秋元議員は「年内に非課税化のメドをつけたい」と意気込む。国際競争力を取るか税を取るか。論戦の火蓋は切られた。

(木ノ内敏久)


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