マイナス金利と政策論の倒錯

大礒小磯 日本経済新聞  2016/04/28(木)  経済学者の間ではマイナス金利に一定の効果を期待する声がある。マイナス金利によって現実の実質金利を自然利子率に近づけることができる、と考えられるからだ。自然利子率とは、需要と供給の差(需給ギャップ)が埋まり経済が完全雇用状態となる利子率を指す。完全雇用状態に近づければ不況を脱出できる。  最近出た日本経済研究センターのリポートでは、日本の…

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アンディ・グローブという個性

(一目均衡)編集委員 西條都夫 日本経済新聞  2016/03/29(火)  米インテルの元会長兼最高経営責任者であるアンディ・グローブ氏が亡くなった。享年79歳。ガートナーの半導体番付によると、浮沈の激しい半導体市場で、インテルは24年連続で世界首位を守る不動の王者。1990年前後に世界一に上り詰めた日本の半導体は短期間で覇権を失ったが、インテルは違った。四半世紀にわたって同社を率いたグロー…

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たかが人工知能、されど… 人と異なる「知性」伸ばせ

(核心) 編集委員 滝順一 日本経済新聞 2016/03/28(月) 囲碁の次は何か。 「2050年までにノーベル賞級か、それ以上の科学的発見を行う人工知能(AI)を開発する」 ソニーコンピュータサイエンス研究所の北野宏明所長が国内外の研究者に呼びかけている。  北野氏はかつて「サッカーの世界一チームに勝つロボットのチームをつくろう」と提案。自律ロボットのサッカー世界大会を創設し、AIやロ…

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マイナス金利は“スタート”

 日本経済新聞  2016/03/23(水)  1月29日、日銀はマイナス金利の導入を決めた。黒田東彦総裁はかねて「日銀は必要な政策はすべて採る」「日銀の政策手段に限界はない」「必要な時はクイックアクションを採る」と公言していたが、まさにそれを実行した形だ。  アベノミクスの第1の矢によって日銀は大量の通貨を発行している。日銀が市中銀行などから国債などを購入し、銀行におカネが流れる仕組みだ。…

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安倍議長の器量問うG7 円安追求には風当たりも 

本社コラムニスト 平田育夫 日本経済新聞  2016/03/21(月)  毎年のお祭り行事と化して久しい主要7カ国(G7)首脳会議だが、5月末の伊勢志摩サミットは議長役の安倍晋三首相にとっては幸か不幸か、とても大事な会議となりそうだ。 中国経済の減速などでかき曇る世界経済の先行き。大不況を防ぐため各国が政策の足並みをそろえられるか。互いに譲り合わないと政策協調は成らない。 日本としては何を譲り…

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生きた資本の時代

(大礒小磯) 日本経済新聞  2016/03/18(金)  例年この時期の株式市場では配当や優待狙いの短期売買がみられる。現物株買いと同時に信用で売る取引が膨らみ、通常は金利を払う買い方が、逆に日歩をもらえる状況になる。日歩というぐらいだから年率にするとなかなかな高利で、売り方は優待券の何倍もの金額を払うはめになることもあるのだが、この逆日歩、考えてみれば談論風発のマイナス金利と同じだ。  …

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金融政策の政治化を憂う

(大礒小磯) 日本経済新聞  2016/03/16(水)  日本銀行法は「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない」と規定している。金融政策の独立性の保障である。  金融政策は日銀総裁、副総裁、審議委員からなる金融政策決定会合で決まる。政府代表は意見を述べることはできるが、議決権はない。独立性が保障されているのは、金融政策は専門的な知識に基づいて常にマーケットと…

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変容する取引所ビジネス

(一目均衡)欧州総局 黄田和宏 日本経済新聞  2016/03/15(火)  1801年創設で起源を遡れば300年以上の歴史を持つ英ロンドン証券取引所(LSE)グループが、世界の取引所から熱いラブコールを受けている。経営統合の交渉が大詰めを迎えているドイツ取引所にとどまらず、ニューヨーク証券取引所(NYSE)を傘下に持つインターコンチネンタル取引所(ICE)なども買収の検討に入った。□  ■ …

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マイナス金利の心理学

 日本経済新聞  2016/03/15(火)  この国では企業家に欠けるアニマルスピリッツが中央銀行にはあふれているようだ。マイナス金利にまで踏み込んだ金融緩和がそれを示している。もっとも、そのマイナス金利、投資促進などプラス効果よりマイナス効果が目立つ。  そこには日銀の誤算がある。勤倹貯蓄を旨とし資本主義の発展を支えてきた地道な日本人に突然、「宵越しの金は持つな」と江戸っ子気質を求めても…

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「プラチナ社会」夢はるか 地方移住どこまで進む

論説委員長 芹川洋一 日本経済新聞  2016/03/14(月)  昨年の天皇誕生日。皇居でのお祝い行事で待機していた石破茂地方創生相のもとに、伊吹文明・元衆院議長がつかつかと歩み寄ってきた。 「石破くん、君、楡周平さんの小説『プラチナタウン』を読んだかい?」 「読んでおりません」 「地方創生大臣なら読まなきゃあダメだよ」 「はい、分かりました」  次の日、議員会館の石破事務所に本が届いた。…

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