黒田日銀の緩和策3年(4)遠のく物価2% 原油安・増税が誤算

 日本経済新聞  2016/03/31(木) 日銀が2013年4月に量的・質的緩和政策を始めたとき、次のように宣言した。「消費者物価上昇率2%を、2年程度の期間を念頭に置きできるだけ早期に実現する」。だが2%目標は今も達成されていない。  政策の1年目は順調に物価に上げ圧力が加わった。緩和開始前にマイナス0.5%だった消費者物価上昇率(生鮮食品の価格動向と消費増税の直接的な影響を除く)は、1…

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黒田日銀の緩和策3年(3)実体経済刺激は限定的 成長戦略が不可欠

(時事解析) 日本経済新聞  2016/03/30(水)  量的・質的緩和の開始以降、市場環境は好転したが、実体経済への刺激効果は限定的だった。初年度の2013年度に株高による消費刺激などが寄与して実質国内総生産(GDP)伸び率は2.0%となったものの、消費増税があった14年度には失速しマイナス1.0%となった。15年度見通し(ESPフォーキャスト調査)も0.67%だ。  市場環境好転の経済…

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黒田日銀の緩和策3年(2) 一時、円安・株高に 年明け以降は反転

(時事解析) 日本経済新聞 2016/03/29(火)  黒田日銀が重視する実質金利低下は実現したのか。まず長期金利(新発10年物国債利回り)は、量的・質的緩和導入決定前の0.5%程度が今はマイナス0.1%程度だ。エコノミスト向けESPフォーキャスト調査で2015年12月時点の7~11年先の予想物価上昇率は3年前の1%から1.4%(消費増税の影響を除く)に拡大した。  この数字をみる限り3年…

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黒田日銀の緩和策3年(1)実質金利低下を重視 市場や経済を刺激

 日本経済新聞  2016/03/28(月)  黒田東彦総裁率いる日銀が2013年4月4日に量的・質的緩和政策の導入を決めてからまもなく3年になる。14年10月31日には追加緩和に踏み切り、16年1月29日にはマイナス金利付き量的・質的緩和政策への衣替えも決めた。  黒田日銀のもとでの緩和政策の効果波及メカニズムは、「実質金利を押し下げることを起点とする」(15年4月公表の日銀レビュー「『量…

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第5章 成長に果たす役割(10) 負の側面どう減らすか

東京大学教授 大橋弘 日本経済新聞 2016/03/29(火)  日本経済の成長には「制約」を乗り越えるイノベーションが必要です。本稿では情報処理の高度化と通信網の進化という基幹技術のイノベーションが、社会変革の起爆剤になることを見てきました。  個が活躍する場が広がるなかで、分散する個の情報が集約され、さらに社会知として個に還元される時代になりました。こうした分散と集約のバランスから、イノ…

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第5章 成長に果たす役割(9)  医療機器産業を伸ばす

(やさしい経済学 イにべ―ションを考える)東京大学教授 大橋弘 日本経済新聞 2016/03/30(水)  わが国の平均寿命は、戦後と比べて1.5倍以上延び、現在では世界最高となっています。今後、超高齢化を迎えるわが国では、健康に長生きができる社会を築くためのイノベーションが求められます。  医療分野でのイノベーションは、財政上の制約を念頭に置く必要があります。社会保障関連費は2016年度予…

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第5章 成長に果たす役割(8) 新薬値付け、工夫が必要

(やさしい経済学 イノベーションを考える)東京大学教授 大橋弘 日本経済新聞 2016/03/29(火)  昨年5月にC型肝炎の治療薬「ソバルディ」が日本で発売されました。C型肝炎ウイルスに感染すると、半数以上の人が慢性肝炎に移行し、肝がんになるリスクが高まります。これまで肝炎ウイルスの除去は不可能とされてきましたが、ソバルディは9割以上の確率で治癒することが臨床試験(治験)で証明された画期的…

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第5章 成長に果たす役割(7) 決済をより身近にする

東京大学教授 大橋弘 日本経済新聞 2016/03/28(月) 最近、「フィンテック」という言葉をよく耳にします。「金融(finance)」と「技術(technology)」を組み合わせた造語です。コンピューターの高度化と通信技術の発達は、金融サービスのあり方を変えつつあります。  ネット経由で不特定多数から出資を募る「クラウドファンディング」や、通信販売の代金と携帯電話料金を一緒に支払う「…

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第5章 成長に果たす役割(6) 「パリ協定」が電力後押し

(やさしい経済学 イノベーションを考える)東京大学教授 大橋弘 日本経済新聞 2016/03/25(金)  昨年末に、国連の会議で2020年以降の温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」が採択されました。今世紀後半に世界全体で温暖化ガスの排出量をゼロにすると定めています。パリ協定を踏まえ、わが国は「地球温暖化対策計画案」をまとめ、省エネルギーと再生可能エネルギーで野心的な目標を設定しました。  …

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第5章 成長に果たす役割(5) 多様性が価値生み出す

(やさしい経済学 イノベーションを考える)東京大学教授 大橋弘 日本経済新聞 2016/03/24(木)  工場の稼働情報や個人の生体情報などのデータを集約することで、人工知能(AI)は一定の法則性を見いだします。AIが見いだす法則性を一般化するには、データを増やすことが必要です。  ここで重要なキーワードは多様性です。例えば夜更かしが習慣になっている人のデータをいくら集めても、早起きを習慣…

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